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弊社代表和田知浩が、折に触れて気ままに「人生成功」に関するメッセージを投稿しています。


vol.361 TBS「地球まるごと大実験 ネイチャーティーチャー」で、激辛料理を食べたときの痛みを激甘ドリンクと秘密兵器で消すことができるのかを脳波測定で判定した報告。 2026.3.8
 
今月4日、私が脳波測定した番組がTBSで放送されたので振り返る。番組名は「地球まるごと大実験 ネイチャーティーチャー」、テーマは「激辛vs激甘!辛いものNGのチョコプラは世界最強の激辛料理の辛さを最強の甘さで打ち消すことができる!?」である。

番組スタップからA4一枚の企画書と共に相談メールを受け取ったのが1月27日で、ロケは2月2日を予定しているとのこと。1週間足らずだ。
恋と同じく、オファーはいつも“突然に”なのである。
この1週間の間にも頻繁なメールの遣り取りで摺り合わせしつつスケジュールが詰まっていった。
29日にはディレクターらと1時間足らずのリモートミーティングをした。大体のことは分かった。質問に対して私のアイデアも伝えた。そして、31日に模擬実験をすることも決まった。
有楽町の番組制作会社で実施した模擬実験には、ディレクターや演出家、AP、ADら6名ほどが参加された。3時間ちょっとの模擬実験となったが、「事前にシミュレーションをやって良かった」と言ってもらえた。
脳波は1ボルトの百万分の1という微弱な電位だから、ただでさえ表情筋の筋電(ここでは雑電)が厄介だ。
この番組企画は、タレントさんが激辛料理を食べるから過剰なリアクションが予想される。通常のカチューシャ型センサーで額から脳波を導出しようとすると筋電が混ざって正確な脳波は測れないだろう。よって、表情筋の無い正中前頭(国際10-20法でいうFz)から導出するために弊社特製の万能脳波センサー「エンフレック」を用意していた。
エンフレックを用いれば、例えば自動車や電車を運転する時のように被験者が視線をキョロキョロさせても比較的綺麗な脳波が測れる。しかし、シミュレーションの結果、この対策では意味をなさないことが分かった。
よって、ノイズ対策は測定のタイミングと時間で対処することとし、センサーはカチューシャ型を用いることになった。
また、α(アルファ)波をプラス評価、β(ベータ)波をマイナス評価とする標準的な判定方法も難しいと判断され、β波だけを指標とすることとなった。
制作会社を出るとすっかり日も暮れていた。

実験を成功させるために、脳波測定の評価方法と測定環境に私なりの手立てを講じた。
先ほど述べたように今回はβ波の帯域だけで評価することになったが、β波の帯域が平均化されるので差があまり出ないかもしれないという懸念があった。これを改善するために、β波を2つの帯域に分けてβ1とβ2とし、それぞれに評価の重みをつけてから合算する手法だ。
当然、β2の方が激辛ストレスが大きいと評価する。
もう一つの手立は、冷凍室対策だ。
実は、脳波測定を冷凍庫内でも行うということが明かされたのだ。脳波測定器の環境的仕様範囲を遙か越えている。
微弱な脳波を測定する際に環境対策はとても重要で、例えば、暑くて被験者が汗をかくとノイズが入りやすくなる。逆に、寒さが悪さをすることもある。
夜の寒い屋外でのロケでは、夜露が脳波測定器やノートPCに溜まったことがある。表面の露は拭けば良いのだが、内部の電気回路がショートするのではないかとヒヤヒヤした。この体験は以下のブログで当時紹介した。
ブログ「vol.333 極寒極霧の屋外ロケ。TBS『水曜日のダウンタウン』で検証した脳の逆サプレッション機能。2021.12.5」
極寒対策として脳波測定器を入れるアルミバックを用意し、脳波測定器からノートPCまでは20メートルのUSBケーブルで対応することにした。

他にも、激辛を打ち消す音楽の推薦や、その他の方法についても番組スタッフと詰めていった。
初めてメールを貰ってから1週間の内に、リモートミーティングや模擬実験、その他諸々の準備を経てロケ本番に臨んだ。
ロケ当日は、九段下でロケバスに拾ってもらい沿岸のロケ地へと向かった。
脳波測定自体は、大きな弁当箱程度の測定器とノートPCで事足りるのだが、様々な測定シーンに対応するための機材とバックアップ用を加えるとこのぐらいの荷物になる。

このジュラルミンケースが脳波測定士として撮影上も重要な小道具になることを、この時はまだ知る由もなかった。
ロケ地に着いてから、「β波の重みを設定して合算比較する」という例の評価方法について相談した。
まず、ロケ本番中の脳波測定時に私をサポートしてくれるというADに相談した。「ディレクターにこれから相談しようと思うんだけど・・・」と。
ADの反応は、「本番中は今回早いテンポだから採用は難しいだろう」とのニュアンスだった。
懲りずにディレクターに相談した。「却下されるだろうとADに言われたんですが・・・」
ADの予見どおり却下された。
それぞれがそれぞれの立場で改善策を講じ、撮影手順もブラッシュアップしているのだから仕方ない。
脳波測定シーンがどれだけ早いテンポを求められるのか、本番で私も思い知ることとなるのだが、この時はまだこのロケーションでノンビリしていた。

私自身のプロジェクトはもちろんのこと、企業や大学の研究期間やどこかのサークルや個人に呼ばれた脳波測定であろうが、この様に必ずノートを傍らに置いてタイムテーブルとイベントを書き留めていく。

ところが今回のロケでは何一つ書けずに展開した。手順を全て理解しているわけではない私は付いていくのが精一杯だったが、そのバタバタ感が緊張感と楽しさを生むのだから甘んじてそこに身を置いた。
引き回されるセンサーコードに繋がる両端のタレントと機材が怪我や破損をしないようにフォローしていると、ADが私に「(次ぎの測定をするために)戻って!」と、正に天手古舞いだ。
冷凍庫(車)にはセンサーコードを延長して対処することになった。この部分はアナログ信号だからノイズ対策のためには長くしたくはなかったのだが、なんとか測定を続けることができた。

ロケの最後には、我々ネイチャーアドベンジャーズの登場シーンが撮影された。
ディレクターから「ケースを持ってください」と、脳波測定士として実際に私が使う七つ道具が入っているジュラルミンケースが撮影の小道具と化した。これ以上のリアルは無い。
“日本一痛い足ツボ師”の呼び声高い與那嶺氏はこのポーズをリクエストされていた。

結局、「β波帯域内の重み付け合算比較」や「脳波測定器をアルミバックに入れる」というアイデアが生かされることは無かったのだが、プロの仕事とはそういうものだ。
事前準備を完璧にやって、本番は柔軟に取り組んで結果を出す。
言うは易く行うは難しでもある。
達成感を抱いてロケを終了したが、数日経った頃に脳波測定データに関して気掛かりが一つ生じた。
そのことを番組制作スタッフに伝え、善後策に取り組んだ。
制作スタッフの皆さんにフォローいただき、こうして無事放送された。
予定調和だけでは得られない、楽しいバラエティ番組だったと思う。
現在、TBSの番組HPで見逃し配信されているが、無料で視聴できる期間はそろそろ終了するようだ。
いつものように、OA画像13枚を弊社ウェブサイト「テレビ番組協力実績」紹介ページに掲載した。
感謝!
セルシネ・エイム研究所 和田知浩
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