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「セルシネのブログ『人生成功 四方山辻説法。』

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弊社代表和田知浩が、折に触れて気ままに「人生成功」に関するメッセージを投稿しています。


2012年のバックナンバー

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詳 細
高性能簡易脳波測定器のレンタル−オペレーター/脳波解説者の派遣も承ります。
個人/企業/学校/研究機関/テレビ番組など、様々な分野でご利用いただいています。

vol.232 『脳波測定で嘘を見破るために使った方法。日テレ「見破れ!!トリックハンター3」に出演して。』 2012.11.8


9月17日午後7時から日テレでオンエアされた「見破れ!!トリックハンター3」に、脳波測定で嘘を見破る“トリックハンター”として出演した。

もう先々月のこととなったが、この間に、大学や企業、そして個人の方から沢山の問い合わせを頂き、色んな出会いがあった。今、脳波関連の様々なプロジェクトが進んでいる。

それらは追々ご紹介するとして、今日は、番組出演の様子を振り返っておきたいと思う。

アシスタントディレクターからお電話を頂いたのが8月23日である。30日にはディレクターと一緒に二人でご来訪くださり、翌月10日には私が日テレ本社の総合演出を訪ね、翌11日が麹町のスタジオでの収録となった。そして、オンエアが同月17日(月・敬老の日)である。

トリックハンターとしての私の役割は、際どい質問に答えるタレントさんの脳波を測って、その答えが“本心”か“嘘”かを判定するというものだ。

脳波で嘘を見破る方法は、3年前に本ブログに投稿した「もう隠せない。嘘つきは脳波に表れる?」の通りである。

この記事の最後に、「残念ながら弊社で販売している脳波測定器では、P300などの事象関連電位を検出することはできない。あくまでも、自発性脳波を検出するためのシステムであることをご承知置き頂きたい。」と付け加えたが、現在は脳波の生(RAW)データを出力する機能を備えているので、P300を捉えることも可能となっている。

しかし、番組収録中に脳波の生データを加算平均してP300を抽出することは、進行上適さないとの判断に至った。

収録日前日の打ち合わせを終えて帰宅してからも、台本で収録の流れをイメージしながら考えた。番組内容に最も適した判定方法は何かと・・・

閃いたのは、とうとう寝床に入ってからだった。「脳波だけにこだわらず、無意識に現れる被験者の【“反射/反応”運動】も取り入れて“本心”か“嘘”かを判定しよう!」と。よし、これならいける。ワクワクしながら眠りに落ちた。

収録当日は11時30分にスタジオ入りして、脳波解析システムと収録機材との接続を確認。午後一からリハーサルが始まり、タレントさん達のダミー(代役)が本番さながらにアクション/リアクションを繰り広げながら確認作業が進んでいく。

そして、私の番。

フロアディレクター(たぶん)から「先生は、紹介されてこの幕が開いたら一歩前に出て『よろしくお願いします』と言ってから入ってください。そこで一旦止めます。」と説明を受けた。

それではスタート。

私を紹介するセリフの後に幕が開き、凄い拍手がスタジオ中に響いている(ように感じた)。これでは自分の声が掻き消されてしまう(ピンマイクを付けているから、そんな心配は不要なのだが)と、思わず目一杯の大声を張り上げた。いきなり不意に大声を出したものだから、その後しばらく頭の中が“ガンガン”していた。

いよいよ脳波測定である・・・。被験者役のスタッフに脳波センサーを装着して準備OK。

フロアディレクターが“質問”を始めようとしたところで私が割り込んだ。

「キャリブレーションを取りたいので、最初に私の方から一つ質問をさせてください」と。

誰にも相談していなかったので、一か八かの提案だった。

「キャリブレーションって何?・・・」。調整室からの総合演出(?)の声がスタジオのスピーカーから発せられた。

「基準値を取ることです・・・」。透かさず、スタジオカメラの近くにいたスタッフが私の代わりに答えてくれた。

「ちょっとやってみて・・・」と、総合演出。

被験者役スタッフに私が質問した。

「今はいている下着、パンツの色は何色ですか?」

どっと、うけた。

被験者役スタッフが色を答えた。

この間私は、被験者役スタッフの【“反射/反応”運動】を注視し、そして、PCモニターに表れている折れ線グラフを確認した。折れ線グラフは、額部の脳波(某周波数)と筋電(某電位)を合成したものである。

その後、進行役のフロアディレクターが(なかなか厳しい)質問をし、被験者役スタッフがそれに答え、私が“本心”か“嘘”かを判定。質問を変えながら、4,5回繰り返しただろうか。

「よし、台本を変えよう」

キャリブレーションすることの許可が、総合演出から出た。

いつも感じることだが、テレビ番組で脳波を測定することは大変貴重である。何が貴重なのかというと、測定データだ。同じことを日頃の研究でやろうと思ってもできない。それは、被験者、そして私を含めた場のテンションが全く違うからだ。

面白いデータが取れそうだ。

最後に、インサート用に脳波測定器の撮影をして、私のリハーサルは終わった。
日テレ「見破れ!!トリックハンター3」の楽屋。
本番まで時間があるからと、楽屋を用意してくださった。

年に数回しかないテレビ出演だから、未だに緊張する。

頂いた弁当を食べながら、メンタルリハーサルを繰り返した。

本番の収録は17時30分から始まった。場に慣れたいのと、ミーハーな気分もあって最初から見学した。
見破れ!!トリックハンター3のオープニング。ウッチャンとベッキー。
MCは、ウッチャンとベッキー。ウッチャンは、生年月日が私と全く同じだった。同じ年頃なのは知っていたが、全く同じだということは、出演者情報をネットで事前にリサーチしている時に初めて知った。

予定より1時間以上押して、私が登場するコーナーが始まった。

「ウソは、人間が作り出す最大のトリックって言いますよね。そんな心のウソを見破るトリックハンターを、わたくし見つけて参りました」と、ビビる大木さんが私を紹介してくれて幕が開いた。
和田知浩が嘘を見破るトリックハンターとして登場。

あれっ、拍手がパラパラだ・・・本番の方がテンション低いのか? と感じた。

ウッチャンが私を見て突っ込みを入れている。一歩前に出て一礼、「よろしくお願いしまーす」と言ったところでカット。・・・オンエアではバッサリと切られていた。

今考えれば、トリックハンターっぽく渋い登場ではなかった、と思う。

判定に用いた脳波測定器はBrainPro-light「FM-828」
簡易脳波測定器BrainPro-light「FM-828」

そして、脳波解析PCソフト「pullax-light」である。
脳波解析PCソフト「pullax-light」

「信頼度99%(和田先生の発言による)」となっている。事前打合せで確かにそれを認めた。だから責任は私が取らなければならない。

この画面の後ろに表示されている折れ線グラフが、右額部(Fp2)の脳波(某周波数)と筋電(某電位)からチューニングしたもので、動揺度を表す。

ポリグラフ(血圧や脈拍、呼吸、心電図などの生体反応を計測する装置)を被験者に繋いで、全ての質問に対して「いいえ」と答えさせ、その時の反応(嘘を隠そうとする動揺)を見る方法はよく知られていると思う。

今回の手法は、質問に対する答えを自由にさせ、その時の動揺振りを見る。

判定精度を高めるために、脳波と筋電の動揺度折れ線グラフの他に、【“反射/反応”運動】を加味して判定するわけだ。

一人目の被験者はカンニング竹山さんだ。当初はスギちゃんの予定だったが、収録の10日前に負傷入院してしまい、急遽、スギちゃんと同じ事務所の竹山さんがピンチヒッターとなった。

判定精度の検証が目的という設定だったので、オンエアされた竹山さんへの質問は一つだけだったが、実際には幾つかの質問が投げ掛けられた。
被験者はカンニング竹山さん。質問提示者はビビる大木さん。判定者は和田知浩。

まず私の方から、「今はいている下着、パンツの色は何色ですか?」と質問し、カンニング竹山さんのキャリブレーションを取った。

その後は、髭男爵のひぐちくんからの依頼という設定で、ビビる大木さんが質問を投げ掛けていった。

この反応が非常に面白かった。

答えを発する前と発するとき、そして発した後の動揺が面白いように表れる。なんと答えるかを決めたとき、肚を括ったか括れてないかが如実に表れるのだ。

この動揺度グラフに、【“反射/反応”運動】を加味して“本心”か“嘘”を判定する。

動揺度グラフをTV画面にも出して欲しかった。2年前に読売テレビでオンエアされたブラックマヨネーズの「セクシー我慢対決」の動画を事前にお見せしたのだが、今回は出さないと判断された。残念! あの面白さを私一人が独占してしまった。

カンニング竹山さんの激怒キャラと機転も素晴らしかった。

そして、いよいよ花田親子。

私の方から、キャリブレーションを取るための質問を藤田紀子さんに投げ掛けた。

「小学生の頃に通っていた学校の、チャイムの音はどんな感じでしたか?」

「えー、分からないわー」と紀子さん。

「はい、結構です」と私。

キャリブレーションはそれだけで十分である。

その後は、“若手タレントとの恋愛騒動”にまつわる質問が容赦なく浴びせられていった。その様子はオンエアの通りである。
被験者は藤田紀子さん。判定者は和田知浩。

2年前に本ブログに投稿した「マッチポンプで切り拓く?」と今も同じ思いだ。脳波というものに関心を持ってくれた人達をしっかりとフォローしていきたい。

脳波が利用される分野は様々であるが、それぞれの分野がマスコミでもよく取り上げられる。

医療分野では、脳死判定や病気の診断のために脳波を用いる。

人の機能拡大や回復を目的とするマン・マシン・インターフェース(man machine interface)の分野では、人の意思を汲み取るために脳波を用いる。

エンターテインメントの分野では、ここ数年、脳波によって耳や尻尾が動くおもちゃやコンピューターゲームが登場している。20年ほど前に、私はおもちゃメーカーと共に脳波でレーン上を過減速するレーシングカーを企画したこともある。

自己統制の能力開発を目的としたBF(bio feedback)訓練の分野でも脳波は用いられる。弊社(セルシネ・エイム研究所)では、サポーティング・バイオフィードバック法(様々な分野の達人が実践しているメソッドのエッセンス[本質]を自己統制法の中心にして、脳波バイオフィードバック法をその補助輪のように使う方法)を構築するために、ヨーガや武道など様々な分野の達人達の脳波収集を行っている。

以上の他にも、商品や広告の効果を検証したり、人の知覚や感情あるいは思考を推察しようと試みる分野も活況で、脳波測定器のレンタル脳波測定サービスのご用命を頂く。

そんな中で、今回のオファーだったのである。感謝。


セルシネ・エイム研究所 和田知浩

vol.231 『気律脳波研究のリハーサル。』 2012.7.13


23日前に富樫昭夫先生と初めてお会いして以降、立ち上げながら、考えながら、作りながら、感じながら、調べながら、まとめながら、壊しながら、色んなことが化学反応を連鎖的に起こしながら展開している。

気律の作用を脳波で確かめるために、毎週月曜日に富樫ご夫妻と協同研究をスタートした。

来週からは、ボランティアの被験者(患者/能力開発・鍛練者)にお越し頂いて効果測定を行うが、今週は脳波測定器メーカーの若菜さんに被施術者役をお願いし、研究測定のリハーサルを行った。

このリハーサルを定点カメラで撮影した動画「『気律療法における施術者と被施術者の脳波共鳴研究』リハーサルの様子」を気律紹介ページに掲載した。
気律脳波研究のリハーサルの様子2012.7.9

「“気”の巡りを治めて、自他の統制と癒しを促す技術」を“気律”と呼ぶこととしたが、果たしてそれを脳波で観察できるのか・・・。当日の測定結果の中から、いくつかの特徴的な脳波をピックアップして報告したい。

この日の研究は4時間半に及び、のべ19個の脳波データを収集し、測定の合間には率直な意見交換もした。

“気”がさっぱり分からない私からの質問は、まるで「自転車に乗る方法を言葉で説明してくれ」と言っているようなものだったと思う。

ただし、“気”が分からないとはいうものの、施術を受けた後の調子の良さは実感している。それが何なのか、誰でも努力次第で使えるようになるものなのか、脳波を手がかりに探求することがこの研究の目的である。

いつものように前置きが長くなってしまった・・・。それでは、測定結果をお見せしよう。
若菜さんの閉眼安静時の脳波

このグラフは、若菜さんがベッドに横たわって閉眼安静している1分間の脳波周波数スペクトルだ。縦軸のフルスケールは50μVである。若菜さんの脳波はこれまでにも何度か測定させてもらっているが、いつもだいたいこんなものである。

その後2回、富樫昭夫先生の施術を受ける若菜さんの脳波を、10分間と5分間に分けて測定した。それを観察していた富樫光恵先生が、「仙骨がいいのかもしれない」と指摘して下さった。

昭夫先生の施術動作を素人目では漫然と追ってしまいがちである。しかし、何をしているのか分かっている光恵先生には、施術と脳波の相関が明らかだったのだ。

富樫ご夫妻の解説によると、仙骨と脳髄(いわゆる脳)は直結しているのだそうだ。

仙骨から気ネルギー(気のエネルギー)を調整すると効果的なのかもしれない。これで、施術のポイントが一つ決まった。

全ての施術を受け終わった後、最初の測定と同じように若菜さんがベッドに横たわって閉眼安静の脳波を3分間測った結果がこのグラフである。
施術を受けた後の若菜さんの閉眼安静脳波

最初の30秒間はシータ波(青色の線)が2回強く出ている。入眠/まどろみ状態に出る脳波だ。やはり気持ち良かったようだ。しかし、さらに注目すべきは次の変化だ。十数秒毎に出る優勢脳波がシータ波からミッドアルファ波(緑色の線)に変わった。

これは、リラックスした状態で、なお且つ頭(思考)が聡明であることを示している。シータ波からそのまま眠りに陥らず、リラックスしながらもしっかりと覚醒しているのだ。

これらの優勢脳波は、若菜さんの呼吸と同調していることが容易に推察できた。後半は、呼吸のリズムからも解放されて、さらに連続的なミッドアルファ波が継続して出現した。

測定が終わって自身の脳波を確認した若菜さんの驚きと喜びは、動画にある通りだ。

各脳波(周波数)の特徴は、弊社脳波関連ポータルサイト「NOWHADAS」の「脳波の種類」コーナーに掲載している。

実験の途中、光恵先生が「気になっていることがあるから」と、私をベッドにうつ伏せにさせて、仙骨から気律して下さった。光恵先生と私の脳波共鳴の有無は詳細な分析が必要だが、一点、明かな特異脳波が観察された。それが、以下のグラフである。
富樫光恵先生の脳波に現れた強いファストアルファ波

5分間の脳波測定で、開始9秒のところで、非常に強いファストアルファ波が光恵先生から出ている。後で詳しく分析してみると、39.4μVであることが分かった。

これまでに様々な分野の達人脳波を測定してきた中で、私は、達人脳波と判定する基準を40μVと決めている。光恵先生の脳波は、それに後一歩のところまで迫ったのだ。

(周波数解析は、測定器の仕様や解析周波数の塊によってボルテージが変わるので、ここで述べた基準はあくまでも脳波測定器「FM-929」脳波解析PCソフト「パルラックス・プロ」で測定した場合に適用されることをお断りしておく)

ファストアルファ波は、緊張集中の脳波である。“緊張”というと良いイメージで伝わらないかもしれないが、ベータ波の分散緊張とは全くの別ものである。

ファストアルファ波は、アスリートやパフォーマーがその秀でた能力を発揮しているときに強く出る脳波だ。

開始後9秒のところで光恵先生は何をしたのか? 再現性はあるのか? 今後の研究で探っていきたい。

さて、昭夫先生の脳波であるが、測定技師泣かせなのである。

動画でも話題に上っていることだが、施術中、昭夫先生の頭が揺れるのだ。この揺れは、脳波の低い周波数帯域(シータ波やデルタ波)にノイズとして影響してしまう。よって、強い脳波が観察されても、それが脳波なのかそれともノイズなのかの判定が難しいのである。

ヨーガの達人もそうだが、ある精神領域に達したとき、身体や目が振動し始めることがある。

私も、座禅がうまくできたときには腹部が7.5Hz付近で振動し始める。

振動というのは、能力を発揮したり、ある種の境地に達するときに避けられない現象なのである。

“脳波測定器は振動に弱い”ということを踏まえた上で、昭夫先生の脳波をご覧頂こう。なお、測定器には、ノイズ混入が疑われる際にはグラフ表示をキャンセルする機能が備えられているが、本研究ではこの機能を原則オフに設定している。宝の脳波を見逃さないためだ。

通常は、おでこの右側(Fp2)を測定しているが、今回は、その他、おでこの左側(Fp1)と、おでこの中心と頭頂葉を結んだ線の中間辺り(Fz)も測定してみた。脳部位の詳しい図解は、弊社「NOWHADAS」の「国際脳波学会が提唱する10-20法に基づく電極配置」に掲載している。

富樫昭夫先生のFzの脳波
このグラフは、昭夫先生の閉眼安静時、Fz部位を測定したものである。これまでにお見せした全時間グラフではなく、60秒間の拡大グラフで紹介する。縦軸のフルスケールは50μVである。

ミッドアルファ波が優勢で、リラックスした一点集中状態であることが分かる。Fp1もFp2も概ね同じような脳波が観察されたが、このFzが幾分ミッドアルファ波のボルテージが高かった。

昭夫先生の施術中の脳波は次の通りである。
施術中に強いデルタ波が出た富樫昭夫先生の脳波

ミッドアルファ波が強いのは変わらないが、問題はこの青色の線である。青色は通常シータ波の5.0Hzに設定しているが、このグラフの青色線は3.0Hzのデルタ波に設定した。この周波数が劇的に強いボルテージを発するからだ。

20秒進んだところのデルタ波は50μVに迫る強さである。施術中、昭夫先生の身体は揺れている。だからこれをノイズと見るべきか、脳波と見るべきかが悩ましいところだ。

3.0Hzの最大値が出ている20秒目の原脳波はこの通りである。
富樫昭夫先生の原脳波波形

横軸のフルスケールは2秒、縦軸のピークピーク値は200μV(−100μV〜100μV)である。

綺麗な波になっており、ノイズが混入しているようには見えない。もしかすると、昭夫先生が施術を行われる際には、デルタ波が鍵を握っているのかもしれない。実際、被施術者(今回は若菜さん)のデルタ波が共鳴している節もある。

いずれにしても、さらなる検証が必要である。

科学は、多くの批判と質問によって磨き上げられる。

“気”の脳波研究はこれまでにも沢山行われてきているので、すでに知見をお持ちの方は是非ともご教授頂きたい。一般の方からのアイデアや意見も多いに歓迎である。


この研究で使用している脳波解析PCソフト「パルラックス・プロ」と「パルラックスF」の64ビット版を今日発売した。

脳波探検の同士が大勢出現してくれることも楽しみだ。


セルシネ・エイム研究所 和田知浩

vol.230 『気律療法の脳波測定協同研究がスタート。』 2012.7.9


先月19日、突然の電話が鳴り(電話はいつもそうだが)翌20日にセッションしてから、この20日間の内にとんとん拍子でプロジェクトが展開した。

2回のセッションは、本ブログの前々号と前号でお伝えしてきたが、今日は、協同プロジェクトとなった脳波研究の第1回目(7月2日)の様子を報告したいと思う。

写真は、そのときの一コマである。
第1回「気律療法の脳波測定協同研究」の様子

まず、当日から一週間経った今日までの私の心身状態を簡単に報告しておきたい。

私は脳波測定のオペレーティングをしながら、富樫ご夫妻から別々に何度か施術して頂いた。結果、その時から4日間ほどは非常に頭が冴え、振り返ると、仕事量も増していた。しかし、その反動か、その後は少しトーンダウンしている。

施術の効力が切れたためにトーンダウンしたのか、それともバイオリズムなのか、はたまた梅雨時のどんよりとした天候のせいなのかの判断はできていない。

そもそも施術の効果自体も、音叉の波動が物理的に身体を励起させているだけのことなのかもしれないし、あるいは催眠的作用によるプラシーボ効果なのかさえ今のところ分からない。

4日間ほどはいつになく好調だったので、患者さんや能力開発を目指している人達には一定の価値があることは確かだ。しかし、これに止まったら科学的とは言えない。

誰もがその恩恵を受けられるようにするために、そして、誰もが努力しさえすれば自身の潜在能力を顕在化できるようにするためには、エビデンス(科学的根拠)が必要なのである。

第1回目の協同研究が終わった帰りのバスの中で考えた。確かに、富樫ご夫妻には人を癒す能力があると思う。しかし、やはり“心霊”という言葉は遣いづらいなーと。心霊の意味は前々号で述べたとおりだが、付帯するイメージが怪しい気がするのは私だけではないだろう。

そこで、私は次のような言葉を作って遣うことにした。

1.気ネルギー・・・気のエネルギー。
2.気律・・・気ネルギーの流れ具合。
3.気律療法・・・気律を扱う療法。
4.気律師/気律療法師・・・気ネルギーの流れ具合を判定し、整える能力のある人。
5.エネブレーション・・・気ネルギーの波動。
6.エネブレーター・・・気律師。エネブレーションを扱う人。

まあ、半分遊びである。

平成24年7月2日時点で、辞書並びにネット上でこれらの単語がヒットしない(気ネルギーは7月6日)ことを確認できたので、これら真っ新な言葉を遣ってプロジェクトを展開していきたいと思っている。

ただし、プロジェクトに関わって下さる全ての人に了承を得ているわけではないので、各々の肩書きや使用される語句は、それぞれのウェブサイト等でご確認頂きたい。

気律プロジェクトのウェブページを作った。まだプレオープン中だが、これからコンテンツも充実してくるはずである。
http://www.selsyne.com/aim/kiritu/

今月2日の第1回研究の様子を定点カメラで撮影した。その動画もアップしている。

ちなみに、この研究名は、「気律療法における施術者と被施術者の脳波共鳴研究」である。

例えば、気功の脳波研究などは何十年も前から行われてきているが、私の知る限りは、その全てが「測定」と「評価」に止まっているように思う。

何とかそこを突破して、本研究では、練習次第で誰でも気律を統制する能力が開発できる「サポーティング・バイオフィードバック法の構築」までたどり着きたい。

この度、気律療法の達人と思われる富樫昭夫・光恵ご夫妻に縁を得て、協同研究がスタートできたことは大きなチャンスだと思っている。

さて、共鳴研究であるが、第1回目のこの日は二者の同時測定は行わず、それぞれの脳波を色々な条件で計13回測定した。

いくつかの知見と可能性を得る有意義なものとなったが、その中から一つ、「光恵先生に私が施術してもらい、そのときの私の脳波を測った」回の結果を紹介しよう。これは、動画で紹介しているシーンのものである。
脳波の周波数スペクトルグラフ。50μVレンジ。

すでに上記サイトで解説しているが、改めてグラフの見方を説明する。

このグラフは、脳波の周波数スペクトルだ。3.0Hzから30.0Hzまでの55ポイントの中から5つの周波数を選択し、それぞれの脳波(周波数)を色分けして表示している。縦軸は脳波の電位(強さ)で、フルスケールを50μVに設定している。横軸は時間で、左から右へ1秒毎に計2分間の測定結果で、左(肌色の背景部分)が前半の1分、右(白色の背景部分)が後半の1分である。縦軸のフルスケールを小さな値に設定すればグラフはもっとダイナミックに表示されるが、研究する際にはこのレンジに統一している。

私は椅子に座った閉眼安静状態で、背中に光恵先生からの施術を受けた。2分間ずっと同じ姿勢と精神状態の私に、鍼を持った光恵先生の手が触れていただけだ。

私は自分の脳波を何千回と測定してきたので、自分の脳波が普段どんな反応をするのかはおおよそ分かっている。このときはなんの変哲もなかったので、特に興味深く観ることもなく、ファイルを保存して次の測定に移ろうとしたとき、あるポイントに目を見張った。

さて、あなたはこのグラフのどこに注目するだろうか? 私が注目したのは、動画でも言っているように、最後数十秒間の緑色の線だ。この緑色の線は、ミッドα波に属する10.0Hzである。動画では「1分45秒ぐらいから・・・」と私が言っているが、正確には1分36秒からであった。

脳波の各周波数の特徴は、弊社の脳波関連ポータルサイト「NOWHADAS」の「脳波の種類と解説」に掲載している。

使用した脳波測定システムの詳細は、高性能簡易脳波測定器BrainPro「FM-929」に掲載している。

測定部位は、右前頭葉(Fp2)である。

この変化は注目に値する。経時毎にぐん、ぐん、ぐん、と伸びている。これは、脳が何かに感応しているときの特徴的なグラフなのである。“気”なんて何も感じない鈍感な私だが、脳は確かに何かに反応しているのだ。

光恵先生曰わく、「もうこの部分は気が通ったから次の場所へ移りたい」と思ったそうだ。そのとき、私の脳波はミッドアルファ波が優勢となり、自己治癒システムが発動したのかもしれない。

この後、頭が非常にクリアで聡明になり、それが4日間ほど続いた。

昭夫先生が動画の中でもおっしゃっているように、「この施術は、気の巡りをいい状態にもっていく切っ掛けを与えることであって、後は本人の身体が自然に治癒していくのに任せるんです。」ということが分かったような気がした。

縦軸のフルスケールが50μVでは分かりづらいかもしれないので、一応全てのレンジを掲載しておこう。

脳波の周波数スペクトルグラフ。25μVレンジ。
上のグラフがフルスケール25μV、下が12.5μVである。
脳波の周波数スペクトルグラフ。12.5μVレンジ。

あまり使わないが、50μVを超える脳波が出るときには、下のようなフルスケール100μVのレンジも用意されている。
脳波の周波数スペクトルグラフ。100μVレンジ。


次回の(今日これから行うのだが)研究では、いよいよ施術者と被施術者の脳波を測定してみたい。

そして、富樫ご夫妻と相談し、被施術者役をボランティアで協力して下さる人を募集することになった。ご応募の要件として5つを挙げさせて頂いている。

詳細は、気律紹介ページに記載している。「しっかりと治療させてもらいます。」とおっしゃって下さっているので、是非ご協力頂きたい。

具体的な病状がおありの方でも、何となく体調が悪いという方でも、あるいは、益々絶好調になって何かに挑戦したいという方でもOKである。


セルシネ・エイム研究所 和田知浩

vol.229 『心霊術者“富樫昭夫”氏との協同研究をスタートする。』 2012.6.30


前号、「心霊を脳波で科学する・・・。遠隔治療の達人、来訪!」で紹介した氏との協同研究を正式にスタートすることとなった。

前回は伏せておいたが、お名前は富樫昭夫氏である。杉並区の荻窪駅南口から歩いて3分(も掛からない)程の所にある「パシフィックアークビル」最上階の7階で、「緑治療室」をご夫婦で開業されている。

昨日初めてお邪魔してきた。
心霊術者、富樫昭夫氏。
約束の15時に訪問し、3時間40分のミーティングとなった。

富樫氏が評議員を務められ、今回、脳波測定器「FM-929」の導入を提案して下さっている協会は、「公益財団法人日本心霊科学協会」である。

残念ながら同協会からの決裁はまだ下りていないが、富樫氏も私も「早く探求したい」との思いが強く、緑治療室と弊社(セルシネ・エイム研究所)の協同研究として正式にスタートすることとし、研究スケジュールもさっそく決めた。

研究成果は、弊社主宰「ファインブレイン研究会」のウェブサイト「脳波研究・・・本物は脳波に表れる」に公開していきたいと思っている。

取り急ぎ、「心霊脳波研究」スタートのご報告まで。


セルシネ・エイム研究所 和田知浩

vol.228 『心霊を脳波で科学する・・・。遠隔治療の達人、来訪!』 2012.6.25


「今日、素晴らしい能力をお持ちの男性が脳波を測りに来て下さいました。後日ブログで紹介します。半分が過ぎようとしていますが、今年初めての本物の達人です。本物は隠れる時代に、本物に巡り会えるのは貴重です。自称能力者は沢山いますが、脳波を測ると何の変哲もありません。」

と、ツイッターでつぶやいた件の報告である。

研究者用高性能簡易脳波測定器BrainPro「FM-929」 の導入を検討してくださっているという男性からお電話を頂いたのが先週の火曜日、さっそく翌20日(水)にお越し頂く約束をした。台風4号の影響を心配したが20日未明には関東を通過し、午前中は何とも瑞々(みずみず)しい空が富士山の方向から東京に広がっていた。
2012年台風4号一過の瑞々しい空。

セッションは、11時から15時迄の4時間に及んだ。

さて、何からどのように報告しようか・・・。

氏は、都内で鍼灸マッサージの治療室を営んでおられる。また、心霊を科学的に研究する公益財団法人で講師を務められ、この度、評議員に任命されたそうだ。「FM-929」は、この財団に導入したいとのこと。

うーん、難しい・・・。誤解されそうだ。早合点されそうだ。

“心霊”という言葉を聞くと、あなたはどんなイメージを想起するだろうか?

私は、心霊写真を思い出す。そして、イコール“いんちき”“怪しい”“偽物”と、ネガティブな言葉が次々と浮かんでくる。

脳波研究やメンタルトレーニングの分野に身を置いてかれこれ25年になるが、同じサポートする側でありながら、間違った心霊写真に歓喜する人達を沢山見てきた。例えば、「水玉が沢山写っている」とか、「手足が消えた」という類だ。

カメラをちょっと囓っていれば、なぜそのように写ったのか理解できるし、再現写真を撮ることも可能である。だから、そんな写真を以てスピリチュアルなどを語られると、一気に興醒めしてしまう。

だからといって、私が心霊現象を否定しているというわけではない。

中学生の頃だったと思うが、田舎の祖父母の家に大勢の親戚が法事で集まったときのことだ。その夜、宴もたけなわとなったとき、一人の叔父が私にこう言った。「知浩君、墓に独りで行って来れるか?」と。

私はそのゲームを平気でやってのけ、墓に行った証拠品を叔父に見せた。叔父はビックリした顔で、自分には絶対にできないと感心してくれた。

しかし、本当のところは私も怖かった。怖さの半分は、「猪や猿に遭遇してしまうかもしれない」という心配だ。だから、月明かりだけの裏山の細く長い坂道を登っているときは、獣に自分の存在を早く知らせて逃げさせるために大きな声で歌った。

私の心を占めていた恐怖のもう半分は、「もしかしたら幽霊が出るかもしれない」というワクワクした怖さだった。

なぜ、“ワクワクした怖さ”だったのかというと、幽霊が本当にいたら自分自身の世界観が大きく変わるからだ。否、変わると言うよりも劇的に広がるからだ。そして、そうするとテレパシーや念力、魔法などの能力も現実のことかもしれないと。

多くの人がそういう期待感を多かれ少なかれ持っている。そして、実生活が困窮している人ほどこの傾向は強い。

例えば、そういうお母さんに育てられている子供は、いわゆるUFOを目撃したり、心霊現象的な話をよくする。母親からの影響をもろに受けているからだ。

しかし、母親の生活が落ち着いてくると、子供はそんな話をしなくなる。母親から発せられる妄想が無くなるからだ。

心霊現象への期待感が大きくて妄信的になると、ちょっとした変化や違和感を心霊現象に結びつけたり、無意識からのメッセージなどと言ってしまう。

私の仕事柄、いわゆるスピリチュアルカウンセラーとたまに話すこともある。もちろん本物もいらっしゃるが、多くは偽物の思い込みである。

しかし、そういう偽物も、素直でまじめな人の場合が多い。ただし、安直なのだ。

例えば、私が観てもらっているときに、窓から光が差したとする。偽(未熟)カウンセラーは、私を取り巻く明るさの変化に気づいて、それを元に占う。「良い兆しが出ていますよー」と。あるいは、エアコンが自動で働いて風温が変わったとき、その温感を以て占う。一事が万事で、そういうことが、枚挙に遑(いとま)がない。

そのタイミングで照明(そのときは、窓の外の街灯が点灯したときだった)や空調が変化した偶然も、それを必然であると考える見方もあると思う。しかし、私に偽物と思わせてしまう理由は、そのカウンセラーの見識(物事を深く見通し、本質をとらえる判断力)の弱さだ。とてもこの人の言葉には乗れないと感じてしまう。

上辺だけで、そして思い込みで暫く生きることも可能だが、地に足が着いているとは言えない。そういう生き方は結局長続きしないし、多くの人に長く支持されることもない。

念のため、ここで言葉の意味を確認しておこう。

“心霊”を辞書で引くと、「肉体を離れても存在すると考えられる、超現実的な心の主体。魂。霊魂。」とある。

“心霊現象”を引くと、「死者の霊魂と生者との交霊現象、テレパシー現象、千里眼的現象、念動・念写など、現在の科学では説明できない超自然的な現象の総称。」とある。

恐縮だが、私が「偽物のスピリチュアリストだ!」と斬り捨てるカウンセラーやヒーラーは、真偽の区別ができない人なのだ。全てを一緒くたにしてしまう。安直に・・・

閑話休題。

来訪された氏に、脳波測定器「FM-929」の使い方をデモンストレーションした後、氏の心霊的能力を実際に披露してもらった。

私が写真を提示すると、そこに写っている人の「現在」と「撮影当時」の状況を感じ取り、的確に描写された。

次に、私自身にアプローチしてもらい、実際にヒーリングも受けた。数分が経った頃だろうか、私の左鼻の奥(鼻腔を形成している骨)が“パチッ”と鳴った。そして、その後のセッションの間中、肋骨の違和感を解放したくて、私は何度も背筋を伸ばしつつ胸をグーッと開くような動作を繰り返した。

これらの体験が、溜まっていたストレスの解放現象であることは、心霊素人の私でも容易に想像できた。

他にも、私の脚を叩きながら「このテンポの波動を感じます」と。私はそれが約5Hzであることがすぐに分かった。この辺のリズムの脳波をいつも研究しているからだ。「私が最近やっている貧乏揺すりのテンポです」と告げると、氏はにっこり笑って頷かれた。

私は普段、貧乏揺すりはしないが、当日の一週間程前辺りから貧乏揺すりをしている自覚があった。単なる貧乏揺すりではなく、貧乏揺すりに意識的な揺すりもプラスして、大きく且つ力強く揺すっていた。何らかのストレスが溜まっていたのか、何かの波動にシンクロしていたのか、それは今でも分からない。

当然、お客様を迎えているときには貧乏揺すりなんてしない。しかし、氏にはハッキリとこのリズムが伝わってしまったようだ。

治療中における氏の脳波は、ミッドアルファ波が優勢で、中でも10.5Hzが特徴的だった。そして、デルタ波も強くリズミカルに出ていた。

デルタ波についてはノイズの可能もあり、今後の更なる検証が必要だが、波形を見る限りノイズの影響ではないとの印象を私は持っている。ただ、その最中、私は目を閉じていたので氏の様子を観察できていない。いずれにしても、さらに多角的に検証してみる必要がある。

残念だったのは、セッションの終盤で私の気分が少々悪くなり集中力が途切れてしまったことだ。鼻孔が埃っぽいようなむずむずした感覚だ。瞑眩(めんけん)反応かとも思ったが、どうやら埃がセッションルームに入ってしまったことが原因のようだ。

その日は爽快な気候だったので窓を開けていたのだが、後半は粉塵(ふんじん)が入ってしまったようだ。

10年前はとても窓を開ける気はしなかった。すぐに足の裏が黒くなるからだ。都政のお陰で大分空気も良くなっているが、この日は午後から粉塵が舞ってしまったようだ。

またまた話が逸れた。閑話休題。

氏が評議員を務められる公益財団法人の協会は、関東大震災があった大正12年(1923)に設立されている。そして、昭和24年(1949)には財団法人に、その後、法改正に伴い公益財団法人となっている。

理事や評議員も錚々(そうそう)たる面々だ。その中に、自律訓練法の重鎮で、30年ほど前に脳波測定器のカタログに推薦文を書かれた先生も発見した。その頃からは格段に進歩した脳波測定器で、どんなエビデンス(科学的根拠)が得られるか、とても楽しみである。

遠隔治療の達人。まだ協会の了承を得ていないとのことなので、ここに協会名を告知することは控えたい。また、氏のHPに協会へのリンクが掲載されているので、氏のお名前を紹介することも控えたい。

同じ理由で、この日の脳波解析のグラフを掲載することも控えたいと思う。

セッションが終わり帰られるときに、写真を4枚撮らせて頂いた。その中の一枚である。私よりも二つ年上だが、非常に若々しい男性だった。

氏や協会と共に、心霊分野を科学的に探求できる日が楽しみである。

脳波測定を通じて、様々な分野のファインブレインに出会えることに感謝しつつ、今日はこの辺で・・・


セルシネ・エイム研究所 和田知浩

vol.227 『呼吸のタイミングと脳波の因果が一目瞭然。脳波解析PCソフト「パルラックス・プロ」のマーカー機能を紹介する。』 2012.3.23


今月1日に発売した研究者用高性能簡易脳波測定器ブレイン・プロ「FM-929」のオプショナル脳波解析PCソフト「パルラックス・プロ」の「マーカー」機能を用いた考察を紹介したい。

測定者及び被験者は共に私自身、測定時間は3分間、測定部位は前額右側(Fp2)である。

目を閉じて安静にしているとこのような電圧スペクトルになる。
パルラックス・プロの「棒グラフ」(脳波の電圧スペクトル)縦軸が脳波の電圧で、フルスケールを25μVに設定している。横軸は脳波の周波数で、3Hzから30Hzまでを0.5Hz刻みでFFT解析した全55ポイントを表示している。

全ての脳波が5μV以下となり、何にも集中せずに、脳のテンションが下がった状態である。眠気方向へ脳が集中しているのでもない。

周波数の特徴は、弊社脳波関連ポータルサイト「NOWHADAS」→「脳波の豆知識」→「脳波の種類」で紹介している。

次に紹介するグラフは「全時間折れ線グラフ」である。
パルラックス・プロの「全時間折れ線グラフ」
縦軸のフルスケールは同じく25μVだ。横軸は時間で、一番左が測定開始時点、一番右側が3分経過時点である。

パルラックス・プロの選択周波数機能「パルラックス・プロ」は、任意の周波数を任意の色で5本までこのグラフに表示することができる。

測定開始の作業をするために目を開け、腕も動かしているので、最初の5秒間はノイズが混入している。それがシータ波(5Hz)の折れ線に影響していることが分かる。

その後はすぐに、テンションの低い状態に戻っている。強いて言えば、54〜59秒辺りでシータ波とミッドアルファ波が強く出て、後半にもたまに同じような脳波が出ている。が、概ねローテンションである。

このローテンションは無念無想と言えなくもないが、実際には弱い念想が残っている。というか、沢山残っている。

さて、ここからが本題である。

「全時間折れ線グラフ」に、測定中に挿入したマーカーを表示するとこのようになる。
パルラックス・プロの「全時間折れ線グラフ」に呼吸のタイミングでマーカーを挿入
マーカーを入れたタイミングは、呼吸の下死点と上死点である。

吐く息を長くしているから、マーカー間の広い時間に息を吐き、狭い時間に吸っていることになる。

このグラフを見る限り、呼吸と脳波に因果関係があるようには見えない。

そこで、5本の脳波を消して、一番周波数の低い3Hzの折れ線を表示すると次のようになる。
パルラックス・プロの「全時間折れ線グラフ」に3Hzのみを表示

このようにして、3Hzから30Hzまで0.5Hz刻みでスキャニングすると、ある周波数で明らかな因果が現れた。

それが次のグラフである。
パルラックス・プロの「全時間折れ線グラフ」に8Hzを表示
吐く息の後半で賦活していることが分かる。周波数は8.0Hzのスローアルファ波だ。

すなわち、このときの私の呼吸法は、スローアルファ波の活性化を誘発していたのだ。

どの周波数が活性化するかは、呼吸の仕方によって変わってくる。別の呼吸法を行えば、吸うときにアルファ波が強く出ることすらある。

以上のように、呼吸のタイミングと脳波をグラフ化することで、呼吸の方法や癖が一目瞭然となる。自己統制法として呼吸を用いている人は、このツールに大きな魅力を感じることだろう。

サポーティング・バイオフィードバック法のツールとして、今後大きな力を発揮してくれることになりそうだ。サポーティング・バイオフィードバック法の指導は、トータルセッションで行っている。

なお、呼吸については、弊社eラーニング「コルパーに成る」→「呼吸を鍛える」も参照されたい。

また、本稿では、「全時間折れ線グラフ」にマーカーが入っていないグラフを紹介しているが、現「パルラックス・プロ」の仕様では、測定時に挿入したマーカーを再生時に消すことはできない。よって、画像編集ソフトでマーカーを消した。


セルシネ・エイム研究所 和田知浩

vol.226 『自己の実現。脳波測定の事前調査で訪問したケアプラザで思ったこと。』 2012.2.16


「伸身の新月面が描く放物線は、栄光への架け橋だ!・・・」

2004年アテネオリンピックでNHKの刈屋富士雄アナウンサーが発した実況が、私の頭の中で柔らかく再生してきた。

昨日、横浜の某ケアプラザを訪問したときのことだ。

ケアプラザとは、横浜の各地域に計110カ所設置されているボランティアと福祉のサービス拠点である。

昨年12月に某NPO法人の理事長からお電話を頂戴し、「自分達が行っている活動の効果を脳波で検証したい」との相談を受けた。

地元で採れる竹などを利用して楽器を作り、ケアプラザにデイサービスで来所したお年寄り達に使ってもらっているのだそうだ。表情や言動の変化、科学的にも唾液の成分を指標とした検証で効果を確認しているとのこと。更に検証を進めるために、今回は脳波を観てみたいのだそうだ。

資料を送って頂いたり何度か遣り取りした後、実際に現場をみさせて頂くことにして昨日に至った。

最寄りの駅まで迎えに来て下さった理事長と昼食を取り、それから理事長の運転されるクルマでケアプラザへ、そしてデイサービスが始まるまでの間、とにかく色んな意見交換をした。

私は“脳波研究家”の肩書きでテレビに出るし、今回の依頼も脳波測定だ。しかし・・・

私の要の仕事は、クライアントや仲間達と一緒に「自己実現」することである。その思いを「セルシネ」という名称でも表現している。脳波はあくまでも道具の一つである。

理事長と息が合った。

そして、50分の音楽療法(というか、お遊戯会のようなセッション)が始まった。

私は初めに紹介されただけで、その後はずっと後ろからスチルとビデオを撮りながら観察していた。そのときに私の頭の中で流れたのが、冒頭に紹介した実況とゆずの「栄光の架橋」である。

ゆずがこの曲をリリースしたのは2004年の7月22日。私の誕生月日である。そんな偶然はどうでもいいか・・・

閑話休題。

人生の大先輩であるこのご老人達に、さらなる「自己実現」のサポートを提供するとしたら、それはどんな方法があるだろう。もちろん一方的な押しつけでは意味がない。

横浜の某ケアプラザにて。

鉄棒をグルグル回りながら色んな技が繰り広げられる。派手で華麗なもの、地味だが美しいもの、大したことは何もしないで終わる場合もあれば、超ウルトラ級の技もある。途中で落下してしまうことだってある。

このご老人達にはそれぞれの人生があった。そして、いずれ最期のクライマックスが訪れる。天国への架け橋を生きる一時だ。

そのときが最高に幸せで、あるいは安楽であるために準備できること、体験できることがあるはずだ。もしかすると、たとえ悲惨な最期であったとしてもたんたんと死んでいける人がいるかも知れない。

“自己実現”というと、人生の最高潮期に何を成し遂げるかということをイメージするかも知れないが、本当の自己実現は“死に様”に集約されていく。最期のときに自己が実現するのだ。

人生をフィニッシュするための寄り添い方を私自身養いたいと思った。すぐに自分も通る道である。


本稿を書くためにビデオを見ると、刈屋アナウンサーは他にも面白いことを言っていた。

「冨田が冨田であることを証明すれば、日本は勝ちます」と。

冨田洋之選手が実力通りに、普段通りに演技をすれば勝てる得点差であるということだが、言葉の言い回しによって含蓄が込められた。

それぞれの人生経験を経て、最期のクライマックスで何を証明して自己実現するのだろう・・・。


セルシネ・エイム研究所 和田知浩

vol.225 『研究者用高性能脳波解析PCソフト「パルラックス・プロ」がまもなく発売。ワクワク、そして使命感を刺激してくれるソフトな奴!』 2012.2.9


研究者用の高性能簡易脳波測定器「ブレイン・プロFM-929」のオプショナルPCソフト「パルラックス・プロ」をまもなく発売する。現在、バグの修正とブラッシュアップの最終段階だ。

「ブレイン・プロFM-929」には、脳波解析PCソフト「パルラックスF」が付属されている。しかし、研究者用と呼ぶには些(いささ)か物足りなさを感じる部分があった。

その不満を、「パルラックス・プロ」の投入で解消する。

価格は98,000円(税込)となる見通しだ。

後ほど触れるが、「パルラックスF」から「パルラックス・プロ」へのバージョンアップで測定精度も4倍に高まっている。そのため、既にご活用頂いている脳波測定器「ブレイン・プロFM-929」本体のプログラムもバージョンアップする必要がある。

よって、近日発売の「パルラックス・プロ」をお求めいただく場合は、お手元の「ブレイン・プロFM-929」をお送りいただいてプログラムの書き替えを行うサービス(無償)をご利用いただきたい。

一昨日、メーカーの若菜さんが「パルラックス・プロ」のベータ版を持って来訪してくれた。
研究者用の高性能脳波解析PCソフト「パルラックス・プロ」を持ってきてくれたメーカーの若菜氏。

今回のバージョンアップにあたり、私が提出していた仕様の改善/追加要望24件のうち、11件を実現してくれている。

主なものを紹介しよう。

まず、今回のバージョンアップで一番の目玉は、脳波の原波形(RAWデータ)が観察できるようになったことだ。これを実現するために、サンプリング周波数を256Hzから1024Hzに高めている。

高性能脳波解析PCソフト「パルラックス・プロ」の画面。
@の窓に表示される波形が原波形だ。縦軸が電圧で、−100μV〜+100μVをカバーする。横軸は時間で、フルスケールが2秒である。これで、P300などの事象関連電位も取り扱えるようになった。

P300については、本ブログの「もう隠せない。嘘つきは脳波に表れる?」などで紹介してきているとおりである。これまでのアルファ波やベータ波、シータ波などの自発性(背景)脳波に加えて、受けた刺激に対する生理的反応や無意識的思考活動をもピンポイントで捉えることが可能となったのだ。

Aの窓には、原波形からFFT解析された周波数(自発性脳波)の電圧が折れ線グラフで表示される。3Hz〜30Hzまで0.5Hz刻みで解析された54個の周波数の中から、任意の周波数を最大5つまでチョイスできる。横軸の時間幅を任意に圧縮して、長時間の変化を一目で観察するのに便利だ。

また、イベントに合わせて最大99カ所に縦線のマークを挿入できる。そして、そのマークポイントにポンポンと移動できる。欲を言えば、マークポイント毎にコメントを記入できるようにして欲しかったのだが、今回は見送られた。

Bの窓には、Aで範囲指定(ピンクのゾーン)した時間幅を逆に拡大して表示できる。

Cの窓には、3Hz〜30Hzまで0.5Hz刻みの54個の全周波数の電圧が棒グラフで表示される。また、他の測定データを重ねて比較することもできる。更に、別フレームに棒グラフを拡大して開くこともできる。

Dの表には、任意にチョイスした5つまでの各周波数の電圧とその平均値、そして優勢率が表示される。

測定できる最大電圧は100μVに高められた。これまでは50μVが最大だったのでたまに振り切れてしまう場合があったのだが、その心配は大幅に軽減された。

音楽プレーヤーのような早送り/巻き戻しボタンで移動できるのはもちろんのこと、時間軸に設けられているスライダーで素早く移動することもできる。

最大測定時間も大幅に拡大された。終夜の睡眠脳波を測定したいというニーズに答えて10時間である。

測定したデータは、原波形もFFT解析もテキストデータとして保存できるので、ユーザーがエクセルなどの表計算ソフトを使って独自の研究を行うことも可能である。(原波形ファイルの拡張子は「.txt」ではないが、エクセルなどで問題なく開ける)

脳波解析PCソフト「パルラックス・プロ」のベータ版を操作する和田知浩。
フューテック製の脳波解析PCソフトの良いところは、なんと言っても操作のサクサク感と視認性の良さだ。データ量が膨大になる原波形の扱いを始めるにあたって、このサクサク感が損なわれるのではないかと少々心配だった。しかし、その心配はまったくの不要だったようだ。

2009年に発売した「ブレイン・プロFM-929」の試作器に触発されてファインブレイン研究会を発足し、武道家やヨーガの達人達の脳波を収集しながら自己鍛錬法のエッセンスを抽出統合し、サポーティング・バイオフィードバック法の構築に取り組んできた。

今回この「パルラックス・プロ」のベータ版を手にして、更なる活動シーン拡大のビジョンが具体的になってきている。こんな手軽に事象関連電位が測定できると、色んな心理学的実験をしたくなってきた。

私の活動の全ては、コルパー養成プロジェクトの礎になっていく・・・。ワクワク、そして使命感を刺激してくれるソフトである。


セルシネ・エイム研究所 和田知浩


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